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2023-03

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スーパープレゼンテーション考察 ~絹が世界を救う日は来るのか?~




 今回のテーマ動画

 Fiorenzo Omenetto:Silk, the ancient material of the future

 訳:『絹……それは昔からある未来の素材』

 動画リンク(日本語字幕付き)




 さて、

 今回のテーマは「技術」と「絹」。


 絹……上質な服の素材として有名な布です。

 もともと昔の日本では絹を上品なものとか高級なものと考えられてきました。

 絹の服も、貴族とか高級武士とか将軍様などしか着ていなかったそうです。

 代わりに農民みたいな貧しい人たちは、木綿の服を通常時に着ていたとのこと。

 じゃあ豊かになった日本では絹の服が主流なのかというと、そうではない。

 皆さんの服を見てみればわかりますが、今の私たちのほとんどが来ている服の素材はポリエステルなどの化学素材。

 今ある絹を使った服というと、ウェディングドレスとかファッション系の服ぐらい。

 昔でも今でも、絹というのは大変高級なものだとわかります。



 で、なんで絹が高級なのか。

 その理由は製造過程にあります。

 絹の糸とは植物から得るものではなく、昆虫から得るもの。

 蚕が繭を作る際に出す糸から絹は作られるのです。

 当然1匹の蚕が作る糸の量は限られています。繭1個が卵を2回りくらい小さくしたようなものだからかなり少ない。

 とするとたくさんの蚕を飼育する必要があるわけですが、蚕も生きている虫。

 植物がたくさんある環境や、餌となる植物が大いに必要となる。定期的な管理もしないといけない。金もかかる。

 もしも蚕たちが病気にかかって死んだら絹もお陀仏。牛や豚や鳥の肉を求めるのと似ていますね。

 つまり、絹を作るのに必要な資金や場所の負担がかなり大きいために、絹は常に高級なものなのです。

 

 長い前置きでしたが本題に入りましょう。

 今回のプレゼン者であるフィオレンツォ・オメネット氏は、そんな絹の新たな有用性について紹介。

 実は絹の糸はかなり強くできていて、化学繊維にも劣らないほどの強度を持っている。

 成分が水とタンパク質だけだから、万一体内に入ってしまっても影響は全くない。

 そして水の中で変化することはなく、好きなタイミングで(酵素を使って?)分解させることができる。

 これほど有用な物質を使わないのはもったいない。

 
 もちろん蚕が作った糸のままでは意味がない。

 糸を分解し、形を変えて再び生成することで強度そのままの塊を作ろうというのです。

 分解方法はどうやらだいぶ前に解明されているようですね。



 さて、いったいどんな風に絹が使えるのか?

 彼が言う中で比較的簡単に作れるのが、フィルム。

 フィルムというとカメラのフィルムなどが一般的ですが、CDやDVDの光っている部分もその1つ。

 皆さんCD1枚で何曲もの音楽を普通に聞いていますが、あれはCDに内蔵された小さな凸凹に記録されているからできること。

 水やタンパク質は細かい物質だから、分解したものを紙みたいにして凹凸を入れればCDのように記録できる。

 タンパク質には自己集合機能があるらしいので、CDに分解したものを敷いておけばCDの複製も可能。

 
 さらに、物質の細かさを利用すればとても細い注射針も絹の糸で作れる。

 強度を利用してナットやボルトなど疑似金属製品を作ることもできる。

 この疑似ボルトなら水の中でも錆びたりしないので金属製品よりかなり有効。

 人体への無害性を考えれば、骨や血管にもできちゃう。

 さすがにこれは体内に溶けちゃわないか不安なんですけれども、一応可能性としてはある。

 他にも、薬の外カプセルに使えたり保存(物を絹できっちり包んでしまう)にも使えたり……

 とまぁいろいろと絹の使い道はあるわけです。

 フィルム


 加工性や強度も絹の魅力ですが、やはり一番のポイントは生物に優しい成分であること。

 私たち生物に元々入っている成分(のはず?)だから人体に影響を与えることはない。

 化学繊維などは化学物質が入っているので影響もあるのでしょうが、絹なら大丈夫。

 さらに、体の中に入れた絹もあとできれいさっぱり分解することができる。

 流石に骨とかを分解されては困りますが、要らなくなった部品を分解できればゴミも出ないで地球にやさしい。

 そう。絹を使えば多くの物がエコ商品になっていくのです。

 エコなコップ、エコな電子部品、エコな金属部品……

 これら全部を絹で作れるというのだからすごい。

 ハート

 もしも実用化されたらゴミ問題も解決してしまう!?

 かもしれませんね。




 まぁ個人的に欠点を考えてみると結構あります。

 1つ目は、冒頭でも書いた生産能力の低さ。

 絹は蚕の糸からしか作れないので、たくさん使うとなると必然的に蚕がたくさん必要になる。

 場所もいるし植物もいる、コストは数十倍になるでしょう。

 果たしてどこまで生産能力を上げられるのか、もしくは蚕以外から絹を作る方法があるのか……

 これが今後の課題になりそうです。

 
 2つ目は、絹に含まれるたんぱく質の安全性。

 人体に元々含まれている物質なら、大半は摂取しても人体に影響を及ぼすことはない。

 しかし大量に摂取した場合はどうなるのか。

 どんな物質だって多すぎても少なすぎてもいけないというバランスがあるはず。

 唯一大量摂取が許されるのは水くらいでしょう。

 絹カプセルによる薬を大量に使った結果、新たな病気が生まれたら……

 絹にあるタンパク質の具体的な名前は書かれていませんが、過剰に摂取しても安全なのかどうかは詳しく調べる必要があると思います。


 そして3つ目は、歴史の崩壊。

 あまり話題にはなっていないことだと思いますが、実は大変なことかもしれません。

 物が全て自然に帰ってしまうのならば、いつか人類が滅亡したときには何もかも跡形もなく消えてしまう。

 そうすると空白の1000年……みたいなのができる可能性があります。

 昔にあったもので考えてみましょう。

 もしもピラミッドが分解される物質でできていたら?

 もしも縄文土器が分解される物質でできていたら?

 もしも恐竜の化石が分解される物質でできていたら(流石にないだろうけど)?

 昔の文化も、昔の道具も、昔の生物も発見されることは無かったはず。

 人類の痕跡が何もかもなくなってしまうことはないでしょうが、まぁ可能性の一つとして。

 手



 

 ちょっと批判の多い内容になってしまいましたが、別に嫌なわけではありません。むしろ賛成派です。

 特に分解できる電子部品、なんていうのは惹かれますねぇ。

 100年後くらいにはできてますかね?







 Thank you.






 

 

 
  
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3月に入りますね。3月に入ったということは、メイプル関係の事をもう書き始めるのですか?それとも4月から書き始めるのですか?

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 2016年9/14再開 リンクフリーです。
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